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ご都合主義な官能小説
「こんな都合のいい話あるわけねーじゃん!」 「いいんです!そーいう小説なんですから!(力説)」www 基本的にハッピーエンドの官能小説を書いてます。 座右の銘は『ご都合主義万歳!』www

2018/08 | 12345678910111213141516171819202122232425262728293031

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 最初に目に入ったのは、壁に掛けられた風景画。
 傍らの窓からは明るい日差しが差し込み、鳥の声が聞こえてくる。
 静かで、穏やかな空間だった。

「ここ・・・どこ?」

 呟いた時、窓の反対側にあったドアがノックされた。
 返事ができずにボウッしているとドアが開き、白衣を着た初老の女の人が入ってきた。
「あら、目が覚めた? 気分はどう?」

 優しい笑顔をあたしに向け、手に持っていたトレーをベッド脇の棚の上に置いた。
 トレーにはトーストとミルク、林檎とヨーグルトが乗っていた。

「朝食を持って来たわ。食べられそう?」
「あ・・・はい。あの・・・ここは?」
「私は高原妙子(たかはら たえこ)、医者よ。ここは私の経営してる病院で、あなたは昨夜かつぎ込まれたのよ」

 昨夜の記憶がおぼろげに浮かび、あたしはあの陰気な男の事を思い出した。

「あの・・・あたしを運んできたのって、男の人ですか? 背が高くて、大分痩せてる・・・」
「京介君の事ね。ええ、あの子があなたを連れてきたのよ。びしょ濡れで驚いたわ。それよりもほら、お食べなさいな」
「あ・・・はい、頂きます・・・」

 トーストを一口かじると、中にはハムとレタスが入っていた。
 美味しい。
 食欲が湧いて、いつの間にか夢中でパクついていた。

「それだけ元気よく食べられれば、心配なさそうねえ」

 彼女の癒されるような微笑に、あたしはトーストをくわえたまま赤面してしまった。
 食べ終わると簡単な診察をして、またベッドに横になった。

「もう大丈夫だと思うけど、念のために今日はゆっくりしておきなさい」
「あ・・・、あの、あたし、お金が・・・」

 手持ちのお金は底をついていた。
 あたしの暗い表情ですぐに察したのか、彼女はまた優しく微笑んだ。

「いいのよ、今はそんな事の心配しなくて。今無いなら、出来た時に少しずつ払ってくれればいいわ」

 そう言って、部屋を出て行った。
 この部屋は一階にある。
 窓の外から見える中庭には、温かい日差しを浴びて色とりどりの花が咲き誇る花壇があった。
 そこに、あの男がいた。

「あの人・・・!」

 ジョウロで花たちに水をやっている。
 横顔が見えた。
 ・・・優しい、顔。
 少なくとも、会った時の陰気さはまるで感じられない。

「あっ! あ、あの!」
「ん?」

 振り向いた・・・仏頂面になってる。
 むう、何か失礼じゃない?

「目が覚めたのか、どうだ? 具合は」

 あ、心配はしてくれてるんだ。

「えっと、大分いい感じです。・・・その、あなたが助けてくれたんですよね?」
「まぁな。あのまま放っといて死なれても寝覚めが悪かったしな」
「・・・」

 もしかしてこの人、けっこー意地悪?

「ともかく、助けてくれてありがとうございました」
「気にするな、さっさと直して帰るんだな。それでまだ死にたかったら、今度は人の迷惑にならない所を選んでくれ」

 ・・・けっこーじゃない、かなり意地悪だ。
 まぁそんな事は置いといて・・・帰る所か・・・。

「帰る場所なんて・・・無いです」
「なに?」

 養父の所に戻るなんて絶対嫌だ、それこそ死んだ方がマシだ。

「・・・」
「自殺を考えるくらい、何かに追い詰められているという事か」

 俯いて、目を逸らした。
 目の片隅に、蜘蛛の巣にかかった羽虫が見えた。
 懸命に暴れている所へ、蜘蛛がにじり寄っていく。
 ・・・まるで、私のようだ。
 これで養父に捕まったら、今度こそ逃げる事はできないだろう。
 ゆっくりと、嬲られて、しゃぶられて、吸い尽くされるんだ・・・。

「高原先生に相談してみろ」
「え?」

 再びかけられた声に、あたしは顔を上げた。
 彼は花壇に水を撒きながら、無感情に言った。

「高原先生に相談してみろ。先生は顔が広くてな、お前の手助けになってくれるかもしれん」
「・・・あの先生に・・・?」

 先程の優しい微笑を思い出す。
 助けに・・・なってくれる・・・。本当に?

「選ぶのはお前さんだ、好きにしろ。だがまぁ・・・」

 あたしに向かって歩いてきた彼は、窓越しに手を伸ばして・・・。
 あたしの、頭を撫でた。

「あ・・・」
「俺も助けた手前、結局死なれた、では後味が悪すぎるしな。相談、するだけしてみろ」

 ぽふぽふ、と頭を撫でる彼の手は大きくて、温かくて・・・。
 視界の片隅に、さっきの蜘蛛の巣が映った。
 蜘蛛に飛びかかられる直前、羽虫は間一髪で脱出に成功して飛んでいった。
 ・・・羽虫に、自分を重ねた。

「・・・うん、してみる」
「そうか」

 手が離れていく。
 温もりが失せて行くことを寂しく感じつつ、あたしはある事に気がついて驚いた。
 なんであたし、平気なんだろう?
 男に近寄られただけで、気持ち悪くなる・・・筈なのに。
 あたしは花壇に水を撒く彼の背中を見た。
 その背中に、何故かデジャブを感じた。

 ・・・あなたは一体・・・?


 (5へ続く)


あとがき

 リイのストーリー【4】のお届けです。
 えらい間が空いてしまった・・・orz

 謎の男、京介。
 無感情、無表情、ついでに意地悪w
 さて、リイに今後どう関わってくるのか、お楽しみに・・・。



テーマ:官能小説 - ジャンル:アダルト

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